【理学療法士監修】ストレスが腰痛を悪化させる? 科学が証明する“心と体のつながり”

〜検査で「異常なし」でも痛いあなたへ〜

「病院でレントゲンを撮っても異常がない」
「湿布や薬では良くならない」
そんな**“原因不明の腰痛”**に悩む方が、実はとても多くいらっしゃいます。

近年の研究では、慢性腰痛の多くがストレスや心理的要因と密接に関係していることが明らかになっています。
つまり、「心の緊張」が「筋肉の緊張」として現れるのです。


目次

■ ストレスと腰痛の関係

私たちの体は、ストレスを受けると「交感神経」が優位になり、
筋肉が無意識に収縮します。

その状態が長時間続くと、
筋肉の血流が低下し、乳酸などの疲労物質が蓄積。
これが「重だるい腰の痛み」や「朝起きたときのこわばり」として現れます。

さらに、慢性的なストレスは**痛みを抑える脳の働き(下行性抑制系)**を弱めることも分かっています(Kim, 2021)。
その結果、痛みが長引き、少しの刺激でも強く感じやすくなるのです。


■ “検査では異常なし”でも痛い理由

画像検査で骨や椎間板に異常がなくても、
腰痛が続くケースは少なくありません。

これは、脳が「痛み記憶」を学習してしまうためです。
心理的ストレスが脳の扁桃体や前頭葉に影響し、
本来は収まるはずの痛み信号を“強調”してしまうのです。

この現象を**「中枢性感作(Central Sensitization)」**と呼びます(Lehrer, 2020)。


■ 慢性腰痛における心身相関の特徴

心の状態体に現れる反応
緊張・不安腰周囲の筋肉の過緊張・呼吸の浅さ
落ち込み姿勢が崩れ、骨盤が後傾
我慢・責任感腰の反りや張り、慢性的な疲労感

特に「責任感が強い」「人に気を使う」タイプの方ほど、
無意識に筋肉を固めてしまい、痛みが長引く傾向があります。


■ 整体的アプローチの考え方

当院では、単に腰をもむ・矯正するのではなく、
体と神経の“反応パターン”を整える施術を重視しています。

強い刺激ではなく、
ゆるやかなリズムや呼吸の誘導を通じて、
神経系をリセットし、筋肉が自発的にゆるむ状態をつくります。

その結果、
・痛みの感受性が下がる
・呼吸が深くなる
・眠りの質が改善する
といった変化がみられます。


■ 心と体は「別」ではなく「一体」

ストレスで体がこわばるように、
体の緊張もまた、心の状態に影響を与えます。

慢性腰痛の改善には、
「姿勢・筋肉・神経・心」すべての調和が欠かせません。

私たちが目指すのは、“痛みを取る”ことではなく、
再び安心して動ける身体を取り戻すことです。


■ まとめ

  • ストレスは筋肉と神経の緊張を高め、腰痛を悪化させる
  • 「検査で異常なし」でも、脳が痛みを感じやすくなっていることがある
  • 強い刺激ではなく、神経のバランスを整える整体が有効
  • 心と体の両面をケアすることで、慢性腰痛は改善できる

■ 参考文献

Kim JH et al. Frontiers in Psychology, 2021.
Lehrer PM et al. Applied Psychophysiology and Biofeedback, 2020.
Neogi T. Pain Research and Management, 2023.
Gross AR et al. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2015.
Park S et al. Journal of Clinical Sleep Medicine, 2022.

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