抱っこで手首が痛い(腱鞘炎)ママのための対処法

抱っこで手首が痛いママのための対処法

抱っこするたびに手首がズキッと痛む。でも、抱っこをやめるわけにはいかない——。産後の手首の痛み(腱鞘炎)は「使いすぎ」だけが原因ではありません。ホルモンの変化と、抱っこの仕方の両方が重なって起きています。ここでは、抱っこを続けながら痛みを減らしていく方法を、理学療法士の視点で解説します。

目次

産後ママに腱鞘炎が多い理由(ホルモンと使い方)

産後に手首を痛める方が多いのには、はっきりした背景があります。ひとつはホルモンの変化です。妊娠・出産期には靭帯をゆるめるホルモンが分泌され、産後・授乳期には女性ホルモンが一時的に低下します。この時期は腱を包む「腱鞘」がむくみやすく、同じ動作でもふだんより摩擦が起きやすい状態になります。

もうひとつは抱っこの回数と重さです。授乳・おむつ替え・寝かしつけを合わせると、抱き上げる回数は1日に何十回にもなります。しかも赤ちゃんの体重は生まれたときの約3kgから、半年で2倍前後まで増えていきます。同じ抱き方を続けているつもりでも、手首にかかる負担は月を追うごとに大きくなっているのです。

そして最後が親指の使い方。赤ちゃんの首やお尻を支えようとして、親指を大きく開いて抱えるクセがつくと、親指の付け根から手首の親指側に負担が集中します。「使いすぎだから仕方ない」ではなく、ホルモンでむくみやすい時期に、負担の集まりやすい持ち方をしている——これが産後の腱鞘炎の実像です。裏を返せば、持ち方と支え方を変えるだけで負担は確実に減らせます。

手首に負担をかけない抱っこの仕方

手首の痛みを減らす鍵は、「手で持つ」から「体で支える」へ切り替えることです。今日から変えられるポイントを4つに絞りました。

  • 親指を立てない・開かない。手のひら全体と指4本で、面で支えるイメージにします
  • 手首を反らさない。手首は前腕とまっすぐのまま、支える位置を手首から前腕(肘寄り)へずらします
  • 肘を体につける。赤ちゃんを自分の体に密着させるほど負担は小さくなります。体から10cm離すだけでも手首にかかる力は目に見えて増えます
  • 抱き上げる瞬間を変える。痛みが出やすいのは「持ち上げる最初の一瞬」。いきなり手で引き上げず、赤ちゃんを自分の体に寄せてから、膝と体幹を使って一緒に立ち上がります

また、抱っこ紐や授乳クッションは「楽をする道具」ではなく手首を治すための道具です。寝かしつけや長時間の抱っこだけでも道具に任せられれば、手首が回復する時間を確保できます。

痛いときの応急ケア(テーピング・サポーター)

すでに痛みが出ているなら、まず親指と手首をセットで安静にすることを考えます。手首だけを巻くリストバンドでは、親指の付け根の動きが止まらないため効果が出にくいことが多いです。市販品を選ぶなら、親指まで包む形(サムスパイカ型)のサポーターが第一候補になります。

とはいえ、日中ずっと固定するのは現実的ではありません。そこでおすすめしているのが「夜だけ固定」です。就寝中は無意識に手首が曲がった状態で数時間固まり、朝いちばんの激痛につながります。寝る前だけでもサポーターやテーピングで固定しておくと、朝の痛みが軽くなったと言われる方が少なくありません。

温める・冷やすの使い分けはシンプルです。ズキズキして熱っぽいときは冷やす、こわばって動かしにくいときは温める。迷ったら、その日いちばん楽に感じたほうを選んでください。

セルフチェックの目安として、親指を手のひらに入れて握り、小指側へ手首をゆっくり倒したときに手首の親指側に強い痛みが走る場合は、その部位に炎症が起きている可能性があります。ただしこれは診断ではありません。強い腫れ・指のしびれ・力が入らないといった症状があるときは、自己判断せず整形外科を受診してください。

手首だけの問題ではない場合(肩・姿勢との関係)

サポーターも休息も試したのに、なかなか良くならない。そういう方の手首を診ていると、原因が手首の外にあることがよくあります。

産後は授乳と抱っこで背中が丸まり、肩が前に入った姿勢(巻き肩)になりがちです。この姿勢では肩甲骨がうまく動かず、本来なら肩と体幹で支えるはずの重さが、そのまま前腕と手首に流れ込みます。肩が使えないぶん、手先がその埋め合わせをしている状態です。この場合、手首だけを休めても、抱っこを再開した瞬間に同じ負担がかかり、痛みがぶり返します。

当院では、手首の状態を確認したうえで、肩甲骨・胸まわり・首の動きまで含めて検査します。そのうえで「手首そのものが炎症を起こしているタイプ」なのか「肩や姿勢の代償で手首に負担が集まっているタイプ」なのかを見極めます。どちらのタイプかで、やるべきことが正反対になるからです。

そして、検査の結果整体ではお力になれないと判断した場合は、その場で正直にお伝えして医療機関の受診をおすすめします。どんな手首の痛みでも良くなります、とは申し上げません。

授乳・抱っこを続けながら改善するために

「手首を休めてください」と言われても、赤ちゃんを抱っこしない日はありません。休めないから困っているのですよね。だからこそ、目指すのは「使わないこと」ではなく「使いながら負担を減らすこと」です。

やることは3つだけです。①抱き方を変えて、手首にかかる力そのものを減らす。②夜だけ固定して、回復する時間をつくる。③肩甲骨と姿勢を整えて、重さを体で受けられるようにする。この3つが揃うと、抱っこを続けたままでも痛みが引いていくケースが多くあります。

反対に、次のようなサインがあるときは整体より先に医療機関へ。手指のしびれが続く/握力が落ちて物を落とす/手首が明らかに腫れて熱を持つ/安静にしていても夜中に痛みで目が覚める。こうした場合は、まず整形外科で状態を確認してください。安全がいちばんです。

赤ちゃんの成長は待ってくれません。「そのうち治るだろう」と痛みを抱えたまま数か月を過ごすより、早めに原因を見極めたほうが、お子さんと過ごす時間はずっと楽になります。


手首の痛みが2週間以上続いている方、抱っこのたびにかばっている方は、我慢せずご相談ください。オテツダイ整体院(近鉄八尾駅 徒歩4分)は理学療法士が痛みの本当の原因を見極め、通わなくていい身体づくりまで伴走します。初回2,980円・1日2名様限定。腱鞘炎の専門ページ・肩の痛みについて・初めての方へ(料金と当日の流れ)・オテツダイ整体院トップへ


この記事の執筆者|絹川琢也(オテツダイ整体院 院長)。理学療法士(国家資格)・整形外科病院リハビリ科主任を経て大阪府八尾市で開院。施術実績 延べ1万人。Google口コミ58件・評価4.9。

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