高齢者の転倒予防体操|毎日3分でできる足腰づくり

毎日3分でできる高齢者の転倒予防体操

「最近つまずきやすくなった」「段差でヒヤッとした」——そう感じているなら、今日が始めどきです。転倒は、あなたのこれからの生活の自由度を大きく左右します。厚生労働省の国民生活基礎調査(令和4年)では、介護が必要になった原因の第3位が「骨折・転倒」(13.0%)でした。逆に言えば、転ばない足腰を保てているうちに手を打てば、旅行も買い物も孫の送り迎えも、これまで通り続けられるということです。この記事では、椅子ひとつで安全にできる「毎日3分の転倒予防体操」を、理学療法士がそのまま真似できる手順でご紹介します。

目次

なぜ転びやすくなるのか(筋力・バランス・柔軟性)

「年のせい」で片づけられがちですが、転倒は多くの場合、次の3つが少しずつ低下して起こります。

①太ももとお尻の筋力。歩くとき、あなたの体を前へ運び、片足で支えているのはこの筋肉です。ここが弱ると歩幅が狭くなり、すり足になって、わずか2〜3cmの段差やカーペットの縁につま先が引っかかります。

②バランスを立て直す力。人は誰でも歩けばふらつきます。差が出るのは「ふらついた直後に足を素早く踏み出せるか」。この反応が遅れると、ふらつきがそのまま転倒になります。

③足首と股関節の柔軟性。足首が硬いとつま先が上がらず、股関節が硬いと足が前に出ません。「筋肉は落ちていないのに転ぶ」という方は、たいていここが原因です。

さらに、膝や腰に痛みがあると、痛みをかばう歩き方が癖になって、ますます不安定になります。当院にも「歩くとき足が抜ける感じがして、転びそうで怖い」とご相談に来られる方が少なくありません(転倒予防と坐骨神経痛の改善実例はこちら)。

転倒リスクのセルフチェック

まずは今の状態を知ってください。壁や手すりのそばで、無理のない範囲でお試しください。

  • 片足立ちが15秒続かない(壁に手を添えてすぐならOK、支えないと立てない場合は要注意)
  • 椅子から立ち上がるとき、手で支えないと立てない
  • 横断歩道を青信号のうちに渡り切れないことがある
  • この1年で1回以上、転んだ・転びかけた
  • すり足になっている、靴の先だけが早く擦り減る
  • 階段を下りるとき手すりが手放せない

2つ以上当てはまるなら、今日から体操を始める価値があります。ただし、急にふらつきが強くなった・片側の手足がしびれる、力が入らない・立ちくらみや意識が遠のく感じがある——こうした変化は、体力低下とは別の原因が隠れていることがあります。この場合は体操より先に、必ず医療機関を受診してください。

毎日3分の転倒予防体操(椅子を使って安全に)

安定した椅子(キャスターなし)の背もたれに、いつでも手をつける位置で行ってください。回数より「毎日続くこと」が結果を変えます。

1.立ち座り(約1分/10回)——椅子に浅く座り、手は胸の前で組み、お辞儀をするように上体を前に倒してから立ち上がります。座るときは3秒かけてゆっくり。ドスンと落ちないだけで、太ももへの効き方がまるで変わります。つらい方は手を使ってかまいません。

2.片足立ち(約1分/左右各30秒)——椅子の背に軽く指を添え、片足を5cmだけ浮かせます。高く上げる必要はありません。ふらついたらすぐ足をつく、これが正解です。慣れてきたら指1本だけ添える、と支えを減らしていきます。

3.かかと上げ・つま先上げ(約1分/各10回)——椅子の背をつかんで立ち、かかとをゆっくり上げて下ろす。次につま先を上げて下ろす。つま先を上げる動きは、段差でつまずかない足首をつくる、地味ですが最も大切な運動です。

痛みが出る動きは中止してください。「痛いのを我慢して続ける」のは、転倒予防では逆効果です。膝に不安のある方は変形性膝関節症でしてはいけない運動・やるべき運動も併せてご覧ください。

住まいの中の転倒リスクを減らす工夫

転倒の多くは、外出先ではなく住み慣れた家の中で起こります。今日すぐできる対策から始めてください。

  • 床のコード・新聞・チラシをなくす——「またぐ」動作が一番危険です
  • めくれる敷物は撤去するか、滑り止めで固定する
  • 夜間の足元灯をつける——夜中のトイレは転倒が起きやすい場面です
  • スリッパをやめる——かかとの覆われた室内履きに替えるだけでつまずきが減ります
  • よく使う物は腰から目の高さに置く——踏み台に乗る回数を減らせます
  • 浴室に滑り止めマットと手すりを——濡れた床は最大の危険地帯です

家族ができるサポート

ご家族がこの記事を読まれているなら、お願いしたいことが3つあります。

ひとつ目は、「気をつけてね」ではなく一緒にやること。声かけだけでは習慣になりません。週に一度、5分でも一緒に体操をすると続き方が変わります。ふたつ目は、転びかけた話を責めないこと。叱られると本人は隠すようになり、危険な兆候が見えなくなります。3つ目は、「もう年だから」と決めつけないこと。当院には86歳で肩の痛みが改善された方もいらっしゃいます(86歳で肩の痛みが改善した実例)。年齢は、変われない理由にはなりません。

体操を1ヶ月続けても不安が減らない、あるいは痛みで体操自体が続かない場合は、筋力以外の原因(関節の動き・神経の症状など)が隠れていることがあります。膝の痛みや脊柱管狭窄症(歩くと足がしびれて休みたくなる)のページも参考になさってください。

歩く不安が続いている方は、我慢せずご相談ください。オテツダイ整体院(近鉄八尾駅 徒歩4分)は理学療法士が痛みやふらつきの原因を見極め、通わなくていい身体づくりまで伴走します。初回2,980円・1日2名様限定。初めての方へ|オテツダイ整体院トップへ


この記事の執筆者|絹川琢也(オテツダイ整体院 院長)。理学療法士(国家資格)・整形外科病院リハビリ科主任を経て大阪府八尾市で開院。施術実績 延べ1万人。Google口コミ58件・評価4.9。
出典: 厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査」介護が必要となった主な原因

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